2015年の第1回投稿として、国の経営革新等支援機関の認定を前提として受託可能な経営改善計画策定支援事業への協力状況について進捗報告いたします。なお、本事業の利用スキームについてはHP内別メニューの料金体系等をご参照ください。当事務所では現在、この計画策定事業を3件並行して対応中です。1事業の完結に概ね3ヶ月という期間が必要なので、時間的な制約から同時進行での複数案件のお引き受けは出来ませんが、毎月1案件が完結するペースで仕事させて頂いておりますので、業績不振に悩んでおられる中小企業の皆様でメインバンクと合意が可能な方はその費用面でのメリット(国の補助が2/3なので自己負担は1/3)も享受できますので、タイムスケジュール面のご相談には応じられると思います。どうぞご遠慮なくお声掛け頂いてみてください。
さて、現在進行中の3案件は、①自動車部品製造業、②介護福祉サービス業、③レジャー用品卸小売業と全て異なる業種の中小企業です。本事業の支援対象者が借入金の返済負担等の影響による財務上の問題を抱えている会社であることから、守秘義務上の観点からも具体的な情報提供は差し控えさせて頂きます。ただ、スケジュール感の目安を参考までにご紹介させて頂くなら、③は今月の受託したばかりで決算書3期分の分析を含めた資料の収集分析段階、②はSWOT分析からコンセプト設計と“質的”戦略骨子の策定段階、①は中長期戦略の確定を経て“量的”計数計画のシミュレーション段階で今月中に完結予定です。当事務所では本事業で対応させて頂いた企業の破綻事例はありませんが、過去100件以上実績のある経営革新認定企業の中には残念ながら倒産・廃業に至ったケースも数件あることも事実です。そうした残念なケースに共通するのは、企業の思いと金融機関の思いとのズレが原因の一つに挙げられますので、こうした思惑のズレを排除するためにも経営改善計画策定支援事業の活用が望まれます。
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障害者自立支援協議会に参画
本日、広島県障害者自立支援協議会の平成26年度第1回就労支援部会が県庁で開催されました。私は2007年度から当部会の外部委員として参画させて頂いており、特に昨年度の法改正前の自立支援法制下では県内多数の施設で働く利用者さんの工賃(給料)アップのお手伝いを続けてきました。こうした社会貢献事業への参画を決意したバックボーンは、今年夏に84才で亡くなった父が齢50を前に弱視(のちに失明)の障害者となり、勤めていた学校を不本意ながら早期退職。当時、未だ私が高校生、兄は大学生というお金のかかる大変な時期だったため、障害者にとって年金頼りではとても金銭的に十分な暮らしが出来にくいという実態を変えられないかという思いがあるからです(ただ、父母は我々子供にこうした不安を感じさせないよう努めていたようです)。
今日の議題は、①広島県障害者自立支援協議会、②第4期広島県障害福祉計画の素案、③関係機関からの情報提供の説明事項ならびに広島県工賃向上に向けた取組の策定でした。他8名の委員の皆様が福祉・労務分野のオーソリティの中で、私だけが民間企業者であり経営面から意見を求められる立場なので、毎回こうした役回りを心得て発言させて頂いています。障害者雇用の促進に関しては、身体・知的・精神という3類型の障害特性を活かして重要な働き手として位置付けるビジネスモデルについて、事前相談でお話した内容が網羅され今後の事業者への普及促進に大いに期待したいと思います。ただ、一昨年まで経営コンサルタント派遣事業で実務の一翼を担ってきた事業所の工賃については、自立支援法制下で一貫して全国平均より高い水準でアップしてきた広島県平均工賃が昨年度は5年振りの減少に転じたという報告があり、私が直接事業関与しなくなって以降の問題とは言え、高邁な理想を掲げ現場支援を行ってきたという自負がある分とても残念な思いがしてなりません。
京橋川オープンカフェ出店者選定を支援
広島市が「水の都ひろしま」計画の一環として全国の先鞭をつけた水辺のオープンカフェ事業について、平成26年度は京橋川左岸地区の事業者選定が行われました。
今春、B地区(京橋東詰:上流側)に出店が決まった広島で有名な老舗料亭の㈱太田荘に続き、秋の選考委員会においてA地区(稲荷大橋東詰:下流側)で㈱SPNの出店が決まり11月27日付で公表されました。同社はオーナーの女性がタイに赴いて宮廷料理の修行を経て安佐北区可部町で既存店を展開、ミシュランガイド広島版にも紹介された美味しいタイ料理のお店です。
この事業がスタートした2005年以来、足掛け10年間にわたり委員として出店者選考に携わってきた私にとって、オープンカフェの発祥地広島で京橋川・元安川とエリアの広がりを伴って事業が継続していること、更に全国から視察の皆さんが訪れて頂いて各地にオープンカフェの環が拡がりつつあることを嬉しく思います。
2014年9月経営革新認定
今月は業歴32年の和装品販売業(卸・小売)、広島市の㈱大樹の経営革新事例を紹介します。当社は広島で創業後、京都にも進出するなど順調に業容を拡大していたが、バブル崩壊後のデフレ進行と和服業界の不振を受け、販売先小売業者の淘汰など業容拡大の基盤を成してきた卸売業態での行き詰まりを経験。10年前から利益重視の経営を目指して、小売業態への重心シフトを展開。今回の経営革新はその進化系として、自社オリジナルの「遊」ブランド商品を確立するもの。
自社ブランドを樹立するということは“言うは易し行うは難し”ですが、当社は社長の人的パイプを活かして複数の外部専門家・専門メーカー等(江戸小紋・友禅等の作家、伝統工芸士、各種職人)とタイアップしてOEM商品として製造直売の仕組みを形成。眠っているヒト・モノ・ノウハウの経営資源を掘り起こして、新たに他者とWin₋Winの関係づくりでお互いのカネ資源の最大化を図るという発想(自社だけで問題解決できなくてもOK!)は、業歴の長い中小企業の皆様にも、是非参考にして頂きたいものです。
2014年8月商店街補助事業6件が採択
中小企業庁「商店街よろず相談アドバイザー」としての任務の一環としての補助事業の最終申請締切が8月15日で終了。最終回の採択率は4割前後と予想以上に厳しかったのですが、当方で担当したソフト事業(にぎわい補助)2件、ハード事業(まちづくり補助)4件の計6ヶ所の取り組みが受託されました。
ソフト事業の支援先は、①温泉津温泉旅館組合(大田市)、②三瓶商工振興会(大田市)の2ヶ所。これらは昭和期には賑わった島根の観光地ですが、団体旅行の衰退、スキー場の閉鎖に加え、最近開通した高速道「尾道~松江線」の動線から離れているため徐々に地域活力が低下。こうした衰退に歯止めを掛けようと立ち上がった人達と一緒に地域再生計画づくりをお手伝いさせて頂きました。
ハード事業の支援先は、①朝日町商店街振興組合(浜田市:ソフト事業も既採択)、②大田町本通り商店会(大田市:ハード再申請)、③広島シティカード協同組合(広島市中区:中心部商店街の連携組織)、④牛田商店街振興組合(広島市東区)。ハード事業の補助率は3分の2なので3分の1の自己資金負担が必要ですが、これらの先は将来ビジョンを見越して自らこの機会を前向きに捉えて資金投資の意思決定を行われました。今後の活性化に期待したいと思います。
2014年8月経営革新認定
最近、業種的に多くの相談が寄せられている食品関連の事例を今月は採り上げます(8月の中小企業経営革新計画認定企業:広島県経営革新課HP参照)。「株式会社ワールド物産」は広島市安芸区で30年弱の業歴を持つ「国産にんにく」の卸売業者です。“健康”食材というフォローの風も一面ではあるものの、この間中国を中心とした低価格の海外輸入品も増加し、主力の食品スーパー市場における競合は次第に激化。当社もご多聞に漏れず厳しい価格競争に晒され、特に専門特化した食材を取り扱う当社にとって、事業環境悪化の影響はストレートに売上伸び悩みと利益率低下という事態に直結しました。こうした中、約10年前には苦境打開のために“健康”関連の新ビジネスへの多角化に活路を求めたそうですが、やはり「餅は餅屋」という言葉通り決して思惑通りには帰結せず。今回のご支援は、1年半前に先代創業社長が逝去され、急遽後を託されることとなった娘婿である近本新社長とのご縁で、代替わりを契機に新経営戦略の構築に関与させて頂いたものです。
経営革新のテーマは「食後低臭にんにくの新技術導入と拡販」という本業回帰と延長線上の実効性ある新事業。中間マージンの低下著しい既存の定番商品を主体とする「川中(卸)」からの脱却を図り、拘りの高付加価値商品を開発する「川上(製造)」展開、自社でも売り切る「川下(小売)」展開を併せた垂直的マーケット戦略が骨子。技術的な要素が絡むだけに詳細はお知らせできませんが、生産面では高品質のみならず時短・ロス削減等も同時実現する画期的な低臭加工技術の研究導入に成功の可能性を大いに期待するものです。経営革新と言えば何でも“新事業”と捉えリスク覚悟の大勝負のように勘違いする向きがありますが、ビジネスとしての成果をしっかりと見据えた方向性を描くことの大切さを自覚させてくれる好事例と言えるでしょう。
2014年7月経営革新認定
今月は春から商店街支援ネタの陰で紹介を控えていた経営革新の支援事例を久々に採り上げます(7月の中小企業経営革新計画認定企業参照:広島県庁経営革新課HP)。今月認定を受けた「藤本表具有限会社」は、明治42年に岡山県井原市で創業後、昭和47年に現在の三原市に移転して親子4人で暖簾を守られている家族経営の老舗企業です。事業内容は日本の伝統産業である掛け軸・額等の表装の修復や制作ということで、高い技術力はあるものの「和」を中心とした需要の構造的な減退下、従来の発注元である仏具店等中間業者の疲弊等から、年々取引の縮小を余儀なくされて来られました。今回の経営革新のテーマ「高い技術力を活かした価格競争力による直接受注体制の再構築とデザイナーと提携した新商品開発」では、家族経営の“強み”を最大限発揮して仕事量を増やしながら高収益体質への転換を企図するもの。社長には4人の息子さんがおられる中、家業技能を担う次男・三男さん以外に、社外で活躍するビルダー(長男)・デザイナー(四男)のオール藤本家パワーの結集が勘所。一人ひとりの息子さんはそれぞれの道のプロであるだけに、親子皆なが助け合って一つの方向に一致団結・協力して事業に臨もうとされている姿勢には微笑ましくも力強いものを感じます。相乗効果の発現可能性は∞(無限大)、今後の活躍を大変楽しみにしています。
なお、今回の支援も中小企業庁「ミラサポ事業」の無料派遣制度(最大3回)を組み合わせてご支援させて頂きました。企業規模の大小に関係なく、ヤル気のある中小企業には広く門戸は開かれています。世の中アベノミクスで一服感がありますが、経営環境が延べて好転という訳には行かない昨今、悩める経営者の皆様「もう…」と諦めず、「まだ…」と気持ちを奮い立たせ頑張って頂きたいものです。
2014年6~7月商店街補助事業7件申請
中小企業庁「商店街よろず相談アドバイザー」業務を引き続き遂行中。第3次先行締切期限の6月27日までに、ソフト事業(にぎわい補助)も更に追加で4件サポートしたほか、今回はハード事業(まちづくり補助)も新規3件の申請支援を行いました。この間、当初の受け持ちエリアである山陰島根県西部に加え、盛り上がりに欠ける地元広島市の緊急プロジェクト・リーダー就任を中国経済産業局から要請され、(多忙を顧みず…)地元貢献の一助になればと新たに活動領域を広げて対応させて頂くことにしました。
支援先は次の5団体。①朝日町商店街振興組合(浜田市:ソフト)、②浜田駅前銀天街協同組合(浜田市:ソフト&ハード)、③協同組合グリーンモール(江津市:ソフト&ハード)、④大田町本通り商店会(大田市:ハード)、⑤祇園町商工会(広島市:ソフト)。このうち、④は既に4月にソフト事業申請済の団体で、大田市中心市街地の抱える一大問題である3年前に破綻した共同店舗「さんのあ」の危険建物撤去と再生計画という数億円規模の大掛かりなハード事業での申請エントリーとなりましたが、そのまま放置せざるを得なかったであろう街の大きな課題解決にお役立ちする機会に恵まれたことは有意義でした。こうしたケースは、全国的に昨今進みつつある大型店競争の行き着く先を象徴する先行例として受け止めるべきと警鐘を鳴らしたい。
2014年4~5月商店街ソフト事業3件申請
4月に任命された「商店街よろず相談アドバイザー」業務で、受け持ち担当地区の山陰島根県西部(浜田市・江津市・大田市)を奔走。本事業の最大ミッションである補助事業(まちづくり補助金[ハード]、にぎわい補助金[ソフト])の申請支援を行いました。
先月は所謂第2次先行締切期限の4月30日をターゲットに以下3市3商店街のにぎわい補助申請のサポートを完了。①浜田紺屋町商店街(新がんばる商店街77選にて全国紹介された有名商店街)、②江津万葉の里商店会(今年中の認定を目指す江津市中心市街地活性化計画の有力民間主体の一翼)、③大田町本通り商店会(締切1週間前に着手しながら爆発的なパワーを結集して超短期間で申請完結)、の3箇所ともに全国的に疲弊が進む商店街とは対極のヤル気に満ち溢れたメンバーが前向きな姿勢で参集されており、久し振りに「商店街まだまだ捨てたもんじゃないぞ!」との意を強めることが出来ました。
2014年3月経営革新認定
今月は中小企業庁「ミラサポ事業」の無料派遣制度(最大3回)を利用頂いた「有限会社因島中央青果 村上八重松商店」の認定取得に係る支援事例を紹介します。公開情報は3月の中小企業経営革新計画認定企業(広島県庁経営革新課HP)参照の通りです。当社は昭和2年創業の因島最古の老舗卸売業者ですが、しまなみ海道(本四架橋)の開通以来、人口減少スプロール現象や島外大手資本小売業者の進出等による取引先の疲弊等から経営面で大きな課題を抱えておられました。本経営革新では、①自ら農業生産(川上)から直販(川下)までコーディネート役として係る地域農業の6次産業化支援、②空き倉庫を改修して人気のサイクリスト観光客向けの休憩・宿泊・交流施設を整備するなど、事業環境の変化を逆手に取った成長戦略を樹立されました。因島地域全体の元気発信リーダー会社としての今後のご活躍をお祈りしています。